2015年度冬休みに読む本① いまいまさこ「ブレーン・ストーミング・ティーン」(文芸社)

学校は4月から翌年3月までの年度で動いているので、2016年冒頭であっても「2015年度の冬休み」と位置付けます。

 

さて、日本語を読める全世界の皆さん、本を読んでいますか?

・紙の本に限らず(電子書籍で読む)

・本という形態に限らず(ネット上に公開されている小説、twitterなどで綴られる「文字」なら読んでいる)

といった人も最近増えているのでしょう。

 

「2015年度冬休みに読む本」は、長期休業中に蔵書点検をしている司書が旭川龍谷高校図書館の書籍を手で触れて発見した、読むのが止められないほど面白い紙の本を紹介していきます。

 

ブレーン・ストーミング・ティーン / Brain Storming Teens

ブレーン・ストーミング・ティーン / Brain Storming Teens

 

 

brain storming=頭が嵐になる?

ejje.weblio.jp

 

取り立てて自慢できるものもない高校2年生の山口摩湖は、広告代理店が企画した「コピーライター選手権」がきっかけで、商品の宣伝企画のアイディアを出す高校生ブレーンとなった。摩湖以外に高校の違う2人の女子高生と共に、紅茶のノベルティ開発・チョコのキャンペーン・映画のプロモーションなどを手掛けていく。

自分が何者かも何者になるのかもわからない17歳が、大人社会に参加してアイディアが実現する「仕事」を体験する一種のお仕事小説だ。よって、商品を宣伝する仕組み・動くお金の具体的数字・タレントの素顔に惹かれる主人公・非売品ポスターを巡る事件など、「仕事」ってこんなことをするのかと読者のティーンエイジャーが主人公と一緒になって知ることができる。

出版は2004年だが、原案はある文学賞に応募し落選した1998年のもの。それを2003年に著者がワープロから発掘し、手直しして本となった。

 

こういった近過去の出版物や時代設定を読むと、すかさず「主人公は今○○歳だ」と計算してしまいませんか?98年に高校2年生だったら35歳、04年なら29歳。主人公が作中で憧れていた三原さん(推定年齢35歳)に届く年頃だ。著者が電車内で耳にした女子高生たちの会話に触発されて書いた(それは98年)この本。その時の女子高生や、実際書籍となって04年当時に高校2年生としてこの本を読んだ人たちはそれくらいの年になっているでしょう。

このブログ記事を読んで、「ブレイン・ストーミング・ティーン」を読もうと思ったそこの高校2年生の君。君もいつか35歳になるのだ。それまでどんな「仕事」をして生きていくのだろう。