2015年度冬休みに読む本③ シュリーマン[著]・関楠生「古代への情熱 シュリーマン自伝」(新潮文庫)

シュリーマンですよ。トロイア戦争ですよ。子供の時の夢を叶えるため、まず金持ちになってから発掘に勤しんだ人ですよ。(大抵の人間は頑張って金持ちになって終わりなのに)

古代への情熱―シュリーマン自伝 (新潮文庫)

古代への情熱―シュリーマン自伝 (新潮文庫)

 

昨日に引き続き、文庫棚を蔵書点検中です。そんな時に手に取ったシュリーマン

表紙のミュケーナイの獅子門は見るたび「格好いいのだからそんな部屋の隅に配置しなくても」と思ってしまう。

 

冒頭のまえがきから引き込まれました。それはハインリッヒ・シュリーマンの死後、「ご主人の自伝出しませんか」話をされたと夫人が書いているのだが、その年号が1891年。

司書は最近グラナダ版「シャーロック・ホームズ」(←わからなければ調べよう)を嬉々として観ているので、ホームズさんがバリバリ活躍中の時代に、シュリーマンの輝ける人生はもう終わっていたのだと衝撃を受けたわけです。

(このように時代物に嵌っていると、A作品の○○年前がB作品の絶頂期だ!などといちいち引き算する楽しみ方があります)

 

1822年に現在のドイツで牧師の息子として生まれたシュリーマンは、8歳まで父の任地であるアンケルスハーゲン村の教区で育った。そこでハインリッヒは村に伝わる不思議なものや幽霊話を見聞きし、父からは古代の歴史を教わり興味を引かれていった。

もう、この時点で人生は決まっていくのですね。8歳になる直前のクリスマスにもらった本(ゲオルク・ルートヴィヒ・イェラー「子どものための世界史」)に書かれていたトロイアの記述に「イェラーはトロイアをきっと見たんだ。(p15)」と、ハインリッヒ少年は将来発掘する決意を固めたようです。

周りにそれを言っても流されるだけだったのに、村の小作人の2人の姉妹だけは信じてくれた、特に同い年のミンナとは「暖かい愛情が生れ、やがて二人は子どもの無邪気さで、永遠の愛と誠を誓い合うまでに(p16)」なったそうだ。「小さな恋のメロディ」じゃないですか!「マイ・ガール」かよ!

現実にはミンナとは遠く、遠く離れ(p19)50年後にこの夢をかなえる時がやってくるのであった…。

 

 

 

ここまでしかまだ読んでません!

どうやら後書きを読むに、シュリーマン本人が一人称で語っているのは全体の4分の1、あとは友人のアルフレッド・ブリュックナーが加筆した形になるようです。

 

三つ子の魂百までならぬ、8歳の夢が50過ぎまで持続する話です。

さらにシュリーマンの凄いところは、なんと15か国語が話せたこと!p26~37にその習得方法が書いてあります。語学に関心がある人はそこだけ読んでも興味深い本です。

 

さて、続きも読みたいし、蔵書点検もせねばならぬし。